『江口の里』有吉佐和子

有吉佐和子初期の短編集。

カトリック神父と芸者。老いぼれた元大蔵大臣とうら若き編集者の女の子。日本舞踊の師匠と内弟子。失明した熟練マッサージ師とそのやり手な妻。文楽の大師匠と、その弟子であり文楽の新しい道を切り開いていくことになるベテラン人形遣い。バラエティ豊かな状況や人間模様を描いてるさまが本当に面白い。日本舞踊や文楽の世界は、後の有吉佐和子の作品に繋がるものがあり、改めてその綿密な取材力に感動する。

粒ぞろいの作品群を楽しませてもらった。また、それぞれに異質な作品かと思えば、共通するエッセンスがつまっていると感じた。新しいものと古いものの入り混じり、欲望や汚さの中でも浮き出る人間の潔癖、大切な人への愛情。などなど。

やっぱり有吉佐和子さんはすごい。現代ご存命でいたら、今の社会に生きる人々をどのように描いていたか、それを知ることができないのがとっても寂しいと思ってしまった。